2015年12月28日月曜日

こえシネマ第14回開催しました。

2015年11月15日(日)15時からせんだいメディアテーク7階プロジェクトルームにて、14回目のこえシネマを開催しました。

今回はテーマを「日記のように」として、震災発生直後から、その後に続く日常の様子まで撮影していた2人の方の記録を取り上げました。

最初に、佐藤修一さんの『山元町の記録』を上映し、次に末武保政さんと末武二三子さんの『地鎮』を上映しました。


『地鎮』には、仙台市内陸部の住宅地での震災直後の様子が記録されています。スーパーに並ぶ人たちや自転車で移動している人たちの映像に対して、トークの前半では自然と「懐かしい」という言葉が出てきました。この言葉がまず出てきたことに、5年近くの時間の経過を実感しました。これまでのこえシネマでの映像との対峙の仕方とまた違った、かなり冷静に震災を振り返る感覚がいつの間にか生まれていたことに気づいた瞬間でもあったと思います。

その反面、『山元町の記録』の消防車が走っていく映像など生々しい様子に触れ、最近仙台に住むようになり、阪神・淡路大震災を経験したという方は、いろいろ記憶が蘇ってきて胸が苦しくなったとおっしゃっていました。終了後のアンケートでも、「いろいろ思い出してしんどかった。それをこの場で話すのは、まだ難しいと思った。」と書いていた方もいて、なかなか一括りにはできない時間の流れがあることに、震災のことを話題にすることの難しさを改めて感じました。



この日は佐藤修一さんが参加してくださり、映っていることについての説明をうかがったり、会場からの質問にも答えていただきました。
佐藤さんの記録は、上映したものはほんの一部で、本当にまめにたくさんのことを撮影されています。なかなか公表する機会がないと佐藤さんはおっしゃっていましたが、個人的に撮られたものならではの貴重な記録だと思うので、また何かの形で上映する機会が作れればと思います。

今回は、震災直後の映像を取り上げたということもあって、なかなかすぐには感想が出てこないということもありましたが、話したい人も、話すことが難しいと思った人も、それぞれのスタンスで映像を囲める場になっていたらうれしく思います。


 

2015年10月14日水曜日

★お知らせ★第14回こえシネマ

テーマ 【日記のように】

東日本大震災が起こる前から、日常的にビデオカメラで記録を行っていた人たちがいます。彼らは、震災発生直後も、その後の日常の様子も、それまでと変わらず日記をつけるかのように映像を撮り続けました。

日々まわされるカメラは、ニュースなどで目にしたことがあるような光景から、記録者のごく個人的な出来事まで、どれも等しく残していました。今では、記録者ですら記憶があいまいになっている日々の事柄もあるでしょう。時間が経過する中で、忘れていくことの戸惑いを感じることもあれば、忘れることでほっとできることもあるかもしれません。

当日は、被害の様子だけではない、個人個人がその後の日常を日記のように記録した映像を上映します。そこから得られた新たな視点を通して、来場者同士で感想などを自由に話し合います。

◆日時:2015年11月15日(日) 15:00-16:30
(参加無料、申込不要、直接会場へ)
◆会場:せんだいメディアテーク7F プロジェクトルーム


◆上映作品①
【山元町の記録】

3月11日もビデオカメラを携え、津波警報が出され役場に避難した直後から記録を開始。その映像は、対策本部や避難所が発足し運営されていく様子をつぶさに伝える。また、一時避難で身を寄せた県北・古川の親戚宅から山元町へと向かう様子、津波の被害を受けた自宅を片付ける様子など、その後の日々の様子をも記録し続けている。

記録:佐藤修一
撮影地:宮城県山元町など 
撮影年:2011年3月11日~5月ごろ
※撮影された映像記録の一部を上映予定 



◆上映作品②
【地鎮】

仙台市内陸部の丘陵地在住。東日本大震災では地滑りなどによる甚大な宅地被害を受け、3月11日の地震発生直後からビデオカメラを手に、停電の暗闇のなか牡蠣フライを調理する妻の姿、地割れした庭、避難勧告を受けた家屋や自宅周辺の様子を撮影。さらには、1年をかけて自宅が復旧してゆくまでの工事の過程をも記録している。

制作:末武保政、末武二三子
撮影地:宮城県仙台市青葉区
撮影年月日:2011年3月11日-2012年4月30日
制作年:2012年
上映時間:20分

2015年8月10日月曜日

こえシネマ第13回開催しました

2015年7月26日(日)15時~せんだいメディアテーク7階プロジェクトルームにて、第13回こえシネマを開催しました。

今回は、3がつ11にちをわすれないためにセンターのウェブサイトでも公開されている映像記録「生きられる家」から、2011年に撮影された蒲生の映像2本と七ヶ浜の映像1本を、一部抜粋した形で約30分上映しました。


参加者には、蒲生になじみがある方も県外からの方もいましたが、仮設住宅で暮らすこととなった方たちの体験談をきっかけに、「家=居場所」として捉えた感想がやり取りされました。


後半には、今年撮影された蒲生に住んでいた渡辺市雄さんの映像も上映しました。上の写真に写っているのは、自宅があった場所に立って話す渡辺さん。
 

終了後のアンケートに、「住む家と、生きられる家(居場所)とは違うな。今後は、自分の生きられる家を見つけていきたい。」と書かれた方がいたように、今回は、参加者それぞれが「自分自身の『生きられる家』とはどんな場所だろう」と映像を通して考えていたように感じました。
家という誰もが日ごろから深く関わっているものにまつわる記録だからこそ、参加者によって多様な見方、感想があったのではないかと思います。
個人的には、震災をきっかけに「居場所」というのを意識することが多くなったので、みなさんのお話を聞くことで、一人で考えていたことに新しい視点が加わったような、得難い時間になりました。

この日は朝からとても暑い日でしたが、会場に足を運んでいただいたみなさま、どうもありがとうございました。

次回のこえシネマは11月15日(日)の開催を予定しています。
現在上映内容などなど、話し合ったり悩んだりしながら少しずつ準備を進めていますので、詳しいことが決まりましたら、チラシとブログで告知していきます。

2015年7月1日水曜日

★告知★第13回こえシネマ


3がつ11にちをわすれないためにセンターのウェブサイトで公開されている映像記録「生きられる家」には、仙台市や七ヶ浜町の沿岸部で暮らしていた人びとが震災の後、少しずつ自分たちの居場所を取り戻していく様子が残されています。

そこには、「自宅の流出物を敷地に並べる人」や「瓦礫を再利用し小屋を建てる人」、「代々住んだ家の修復に取り組む人」など、その場所に住む人の生活が確かに在ったことやそれぞれが独自の方法で家の再建に取り組んでいたことが、インタビューや作業の様子などを交えて映し出されています。

いわゆる被害だけを切り取ったような映像ではなく、震災を経験したさまざまな人たちの個々の思いやその後の日常風景に触れることで、自らがイメージする東日本大震災とは異なる新しい視点を通してなにかに気づくことが出来るかもしれません。

震災を語ること、忘れていくことの戸惑い……戸惑うことを否定するのではなく、その感情を丁寧に見つめ直すようなそんな場になればと思います。

当日は映像を見ながら、来場者同士で感想などを自由に話し合います。


◆日時:2015年7月26日(日) 15:00-16:30
 (参加無料、申込不要、直接会場へ)
◆会場:せんだいメディアテーク7F プロジェクトルーム
◆上映時間:約40分(「生きられる家」シリーズから数本を抜粋しての上映を予定しています。)

2015年5月25日月曜日

次回のこえシネマは7月開催です

第13回こえシネマの日程が決まりました。

2015年7月26日(日)15時~16時30分
せんだいメディアテーク7階プロジェクトルームで開催予定です。

詳しい内容は、チラシとブログでまたお知らせします。

2015年3月9日月曜日

こえシネマ第12回開催しました。

2015年2月21日(土)15時~ゲストに小森はるかさんを迎えたこえシネマを開催しました。

当日13時~せんだいメディアテーク7階シアターで、小森さん制作の『息の跡』の上映があり、上映終了後にプロジェクトルームに場所を移してトークの時間となりました。
 
 
『息の跡』は、陸前高田で種苗店を営む佐藤さんの震災後の日常を追った記録で、映像の中には姿が出てこない小森さんに、佐藤さんがいろいろなことを話しかける、その様子と言葉が印象的です。
トークでも、佐藤さんに強い興味を引かれると共に、小森さんと佐藤さんの関係性に注目した感想や質問が多く出てきていました。
その地で生活しながら長期間にわたり記録した映像ということで、震災からの約4年という時間の流れを振り返りながら、小森さんのお話を聞いていた方も多かっただろうと思います。
 
最後には、小森さんからも、震災前から東北沿岸部で映像や写真を撮っている方たちへ、どのような思いで撮影しているのかという投げかけがあり、3人の方が震災直後の気持ちや、現在の撮影の目的などを話してくださいました。
 
1時間半以上のトークの中で、小森さんにはたくさんの質問に答えていただき、本当にありがとうございました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


2015年2月15日日曜日

星空と路


2015年2月20日(金)~22日(日)せんだいメディアテーク7階スタジオシアターにて、
「星空と路」という、3がつ11にちをわすれないためにセンターに集められた記録映像の上映会が開かれます。
http://recorder311.smt.jp/information/40400/

2月21日(土)13時からは、こえシネマのゲスト小森はるかさんの『息の跡』の上映があります。15時からのこえシネマは、この上映終了後に同じフロアのプロジェクトルームにて開催です。

今回のこえシネマは、『息の跡』の感想を中心にトークを進めていこうと思っているので、参加を予定している方は、ぜひ13時からのスタジオシアターの上映もご覧ください。
(なお、前の記事とこえシネマのチラシでは、映像の内容として2人の方が登場するとお伝えしていましたが、実際の上映では種苗店を営む男性の方のみの記録映像になります。事前の告知と内容が若干変更になることをご了承ください。)

また、17時40分からは小森さんと瀬尾夏美さん制作の『波のした、土のうえ』の上映があります。
こえシネマの終了時刻も、いつもより少し早く切り上げる予定にしているので、17時40分からの上映もぜひご覧ください。


21日は、星空と路とこえシネマ両方に参加して、いろいろな形でわすれンの記録に触れる機会にしていただければと思います。




2015年1月13日火曜日

★告知★第12回こえシネマ


震災後に東京から岩手県へ移り住み、その地に住む人びとや町の日常を記録し続けている小森はるかさん。

今回の映像に登場するのは、種苗店を営む男性と、災害FMのパーソナリティーを務める女性です。ラジオに出演し食事の準備をし、苗へ水をやる。それぞれに日々の暮らしを刻み続ける2人。
その反復するリズムに触れたときに気付く、震災前その地に流れる時間があったこと、それが失われてしまったことの重さ。それは見る者を揺さぶります。

当日は、小森さんを囲んで、映像を見ながら来場者同士で感想などを自由に語り合います。

◆開催日時・会場・お問い合わせ◆
2015年2月21日[土]15:00~17:00
せんだいメディアテーク7F プロジェクトルーム
参加無料 ( 申込不要 )

直接会場へお越しください。
お問い合わせ先:こえシネマ

◆上映作品◆
息の跡
監督:小森はるか
撮影地:岩手県陸前高田市
撮影年:2013-2014年
作品時間:約120分(こえシネマ内での上映時間は30分程度を予定)

この町に住む人達は、津波によって失ったものと残されたものとを結ぶ痕跡を、風景や記憶の中に見つける。それを自身の方法で伝え残そうとする人達がいる。私は彼らの日常を撮りためた記録を用いて、この町の記憶をとどめておくための映画をつくりたいと思う。

◆ゲスト◆
小森はるかさん
1989年静岡県生まれ。映画美学校修了。東京藝術大学大学院在籍。映画、映像作品を制作。2012年より、大学時代からの友人である瀬尾夏美と共に岩手県陸前高田市に拠点を移す。現在は地元に住む人々や町の日常を記録し、ドキュメンタリー映画を制作している。


『息の跡』の全編は、2月21日(土)13時~15時にせんだいメディアテーク7Fスタジオシアターにて無料上映を予定しています。